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感想文ブログ

作品をもう観たという方に、私の個人的な解釈を伝える為の内容を溜めます。

傷物語Ⅰ鉄血篇 ネタバレ感想考察2

○友達
[原作 002章(13P~34P)]

 

時系列は遡り3/25(土)、終業式終わりの午後。
宿題もなく友達もいないため、暇を持て余してしまい家にも学校にも居辛かった暦。
原作では通学用の自転車を学校内に置いたままの散歩となっていますが、この場面の最後に徒歩で帰宅しているような箇所が見受けられるため、今作では徒歩で通学、もしくは通学用の自転車を持っていない設定と考えられるかもしれません。

 

二度程差しこまれる桜のカットは、この後にアクシデントで見てしまうこととなる羽川の下着のメタファーみたいなものなのでしょう。
直江津高校の校門前で鉢合わせる三つ編みの位置を直すために両手が不自由となっている羽川と暦。そんな時に突然発生した自らの身体を支えきれない程の突風。
スカートがめくれるくだりは、モノローグが存在しない構造のため、原作で暦が展開する細部までの描写がカットされてしまったところは残念でした。
そこから初対面である二人の会話が始まりますが、その間横断歩道の信号は最後まで赤。お互いがまだ会話をしたいと思う気持ちと連動しているのでしょうか。

 

羽川からの質問に嘘で返答する暦。ここで道路の車が事故を起こす演出。
デフォルメ羽川の可愛さももちろんですが、暦に対し逆光で会話を続ける羽川がどこか神々しいイメージを植え付けます。
ちなみにこの場面では風が一度止みますが、その場を離れようとする暦を引き止める際にまた風が吹きます。
この会話シーンでは、数回風が吹いたり止んだりを繰り返す演出がなされていますが、その切り分けとして羽川と暦、二人の心の距離が縮まる時は風が吹くように感じとれました。
また、この時の羽川の追いかけるカットから暦の制服を掴むカットがとても好きです。
ベンチでのシーンに移り、宇宙人ギャグ。このギャグが作中一番劇場内で笑いが起きた印象でした。

 

少し唐突に始まる吸血鬼の噂話。逢ってみたいと語り人より上位の存在に憧れる羽川。
そこで差しこまれる赤い傘を片手に土砂降りの中俯く羽川が、この時の彼女の家族境遇を表現しているのでしょう。
ここでも逆光の中話を続ける羽川。神々しさを感じる羽川にも憧れや弱さを垣間見え、先程の同じようなシーンとはまた違う複雑な気持ちが生まれました。
ただ、人間強度が下がる話で二人の距離が明確に離れた時は少し笑ってしまいました。

 

横断歩道へと戻り、携帯に無許可で番号とアドレスを入力した上で「ざーんねん。友達、できちゃったね」。
ここで今まで大袈裟に吹いたり止んだりしていた風が最後に優しく吹き抜けます。
一人密かに微笑みながら帰路に着く暦。ここで先程演出で事故を起こした車がそのまま放置されています。ここでも劇場はまた一笑い。

 

ここからシーンは夜へと移り変わります。