感想文ブログ

作品をもう観たという方に、私の個人的な解釈を伝える為の内容を溜めます。

傷物語Ⅱ熱血篇 ネタバレ感想考察2

ドラマツルギー
[原作 008章(123P~141P)]

 

3/31の夜、直江津高校グラウンド。最初の学園異能バトル。
暦の吸血鬼の能力に対する誤解の為、最後まで苦戦を強いられるも、地の利を活かして勝利を収めるが、あとをつけて来ていた羽川に全てを見られてしまう。
すれ違いながらもお互いの決意を帯びた気持ちを打ち解け合い、友達として仲直りを果たす。

 

いよいよアバンシーン、ドラマツルギー戦へと繋がります。
直江津高校に結界が張られていることを伺わせるように、校門前の信号が赤となっていますが、この場所でのバトルは、直江津高校という場所の意味がかなり強い場面であり、なぜどのように決まったかといったシーンが触りだけでもない事が少し残念ではありました。
ボクサーのように構える暦に三度目の笑い。
原作とは違い蹴りで腕をもぐドラマツルギー。飛んでいく腕の効果音が間抜けで個人的には好きな場面です。元々、暦を速攻で殺しにかかっていたので腕の再生もあっという間の出来事でしたが、今作では腕のもげた身体でかなり逃げ惑います。目と反射神経の性能や、使い方に対するギャップについて特に言及はなく、また構成もクラス内バトルや、屋上での隙のつき合いなど、オリジナル要素がかなり多くなっているので、映画としてのインパクトを最優先している箇所の一つであるという印象が残ります。

 

暦による屋上での合気道技が、無情にも両腕を切断されて返された際に、腕の消失演出あり。ここも原作では手首の場面。
そこから派手に落下した暦が体育倉庫に向かうまで、ここでは思案した二人の差や、大砲というアイディアに帰結するまでの描写が無いと、なんだかよくわからないけれど読んでいた野球の本に触発され、なんだかよくわからないまま砲丸を投げる流れに見えてしまい、なんというか勝つべくして勝った印象を、ほとんど感じる事無く勝負がついてしまったように思えてなりませんでした。
supplication(嘆願)齣の上で降参するドラマツルギー。雨が上がり校門前の信号が青へと変わり、結界が解け日常が帰ってきた様子の中、吸血鬼の視力で人影を確認する暦。

 

羽川を見つける暦。ここのシーンは早朝の様な明るさではありますが、前作同様、萎れる日章旗の描写から陽がまだ出ていない事を示唆しているように思います。
バトル中に雨風でたなびいてはいましたが、その際は単純にバトルの情景を色濃くするためであり、同じ日章旗をそれぞれ別の意図で活用していると解釈しました。
本を返し、先程目の前に起こった出来事を確認した上、言い合いに。
DAKARAを強調する4体の小便小僧に四度目の笑い。ここに至るまでの空気とのギャップもあってかかなりの爆笑ポイントとなっていました。
「わかった」の後に展開される壮大な演出によって、劇場は続けざまに爆笑。
慌てふためき走り出す暦。その心を表わす言葉と行動と時間が錯綜するシーンを挟み、仲直りを果たします。