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感想文ブログ

作品をもう観たという方に、私の個人的な解釈を伝える為の内容を溜めます。

傷物語Ⅱ熱血篇 ネタバレ感想考察3

○奪還
[原作 009章(143P~154P)]

 

学習塾跡へと戻った暦。忍野が持ち帰った右脚を受け取ったキスショットは、その右脚を食べることで十二歳程度の姿へと変貌を遂げる。

 

原作にあるメタ発言は全カット。ボストンバッグを片手に忍野が登場します。
キスショットの存在がそうさせるのか、ここではとてもコミカルな場面が多く、忍野が取り出した右脚を持ちながら暦と喋ってる時も、なんとかそれを奪い取ろうと頑張る姿や、魚のようにピチピチとあまりにも活きのいい描写にあわせバランスを崩してみたり、「こうするのじゃ」と丸で足を頬張り、頬が脚の形に出っ張らせてみたり、可愛らしい行動が随所に展開されます。そこに劇伴として再アレンジが施された道聴塗説も流れ、化物語では形を変えてしまったものの、懐かしくもあるこの三人の空気感を今一度体感させてくれる一幕はとても好きな瞬間です。

 

キスショットにマナー違反と怒鳴られ追い出された後、徐々に話のトーンが真剣な形へと変化し、不死力の構造について及びます。
三人が共闘して使った手法等、推測することしかできない箇所は多いですが、初めての吸血鬼バトルを体験した後の気持ちのうねり、これ程までに逸脱した存在から、本当に人間に戻れるのかという、これからの不安が溢れだす暦の姿はとても引き込まれます。
そこに優しさが込められた忍野の「こら」でそんな空気が一変。見透かしたような表情で決め台詞も飛び出しますが、この後なぜ眷属を作ったか、そもそも眷属とは吸血鬼にとってどういった存在なのか、とても重要な二人の会話が省かれているのは、今後の展開のためのものなのかとても気になりました。

 

7:20頃、部屋にはうつろな目のキスショット。見蕩れる暦をよそに軽くステップを踏み身体の調子を確認。

 

○接近
[原作 010章(154P~168P)]

 

生活用品を準備してくれる羽川を学習塾跡へと迎え入れる暦。傍らで眠っているキスショットを横目に、弾む二人の会話が心の距離を縮める。

 

4/1の夜、暦は待ち合わせた羽川と合流し、結界が張られている学習塾跡への道案内をするシーンを散りばめつつ、二人の会話は展開していきます。暦を激昂させてしまうまでに至る、その時の気持ちを話していた羽川がふと言い放つ「戻れるよ、きっと」という言葉に、不安な気持ちを共感していた私自身も鳥肌が立ってしまいました。
準備してもらった着替えを確認し、ブリーフとトランクスが出てくシーン、体格チェックのタイミングから始まるキスショットの寝言解説等で、劇場も徐々に緩い空気に包まれます。
お腹をポリポリとかくキスショットの姿は、キャラクター性と体躯とが重なりとても可愛らしく映りました。
暦の身体つきを確認した羽川に対し、照れる羽川。原作と多少話の流れが違うため、らしくない程の照れ方をみせるまではよいのですが、彼女の準備していた漫画はこれからの展開に繋がるポイントでもあるので、登場させておいた方がよいのではという感想を持ちました。

 

再び寝言を言い放つキスショット。メガネ委員長の特集を含むエロ本を物質にした表情がかなり楽しそうです。
voix、question、「えっへっへ」、「で、何これ?」。
原作にある『羽川はとても優しい、猫なで声で言った。』がスクリーンで完全再現されます。