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感想文ブログ

作品をもう観たという方に、私の個人的な解釈を伝える為の内容を溜めます。

傷物語Ⅱ熱血篇 ネタバレ感想考察5

○聖人
[原作 012章(194P~213P)]

 

二度目のバトルを終え、次の対戦相手ギロチンカッターへの対策を講じる怪異殺しチーム。掴みどころのない相手に警戒を強める。そして前回の対戦で被害を受けた羽川と会う暦。これ以上は危険という判断をくだした暦の言葉を受け、新学期にまた会おうという約束をし、いよいよ最後のバトルという時、緊急事態に見舞われる。

 

4/5。左脚を取り戻し約17歳ほどの肉体に成長。吸血鬼としてのスキルを失いつつも不死力はほぼ回復。
暦とキスショットがベンチで繰り広げる会話の様子は、力が抜けたような座り方や話の雰囲気など、お互いかなり仲良くなっているような印象を受けます。暦が言うギロチンカッターへの所感を聞いているキスショットの表情など、かなりリラックスしているように見受けられます。
ここでのギロチンカッターの人間だという箇所に入る回想で、ギロチンカッターから伸びている影のシーンが重なりより強調された表現になっています。
両腕を奪ったギロチンカッター傷物語での敵キャラとされる三人の吸血鬼ハンター、その名前に含まれている刃物の数で、キスショットから奪った四肢が割り振られているのかと思います。
ドラマツルギー(剣)。エピソード(ソード)。ギロチンカッター(ギロチン、カッター)。

 

キスショットの会話シーンと流れるように繋がって羽川と草むらで会うシーン。
ここで羽川が持参したサンドイッチ、「この一列トマトだよ?」と、吸血鬼の好物としてもあげられるトマトジュースに寄せて作ってきたことが伺える一幕ですが、確かこの台詞は原作にない部分で、より羽川の気の回る姿が強調された追加に見えます。
コカコーラのCMのようなはしゃぎ方をみせるシーンを越え、今後の伏線ともなる吸血衝動の会話と、サンドイッチを食べている羽川をみる視線が少しずつ下がっていき、生唾を飲む所作は、これまでの暦が見せて来た変態的側面の延長に有りながら、それがこの時点で少しずつ変わり始めている前触れとして、空気感もかなり違った形になっています。あの羽川ならば、気づく事もこの段階から多くあったのかもしれません。特に反応せず。ここで原作のモノローグにある「キスショットがには、今吸血衝動がないらしいと、忍野がそう言っていたけれど」がどうにか挟みこまれていれば、次作に向けて更に良いとっかかりになるのになと思いました。

羽川と一旦のお別れをするシーン。会話に入り風がゆったり吹き始め、言い合うシーンとなりまた風が止まります。「自己犠牲なんかじゃないよ」と暦の手を振り払った瞬間に草が僅かに揺れ始め、「自己満足」と言い放ったと同時に、少し強めの風が吹き抜けます。二人の間で、心からお互いを理解し始めた時に風が優しく吹いているように感じました。
「正直、引く」と言われた瞬間、羽川のストレスが著しい際に出ているであろう赤い傘のカットは切なくなります。
唐突にパンツを脱ぎ出す羽川、漫画のくだりがバッサリカットされているため、不意打ちの衝撃は原作以上です。足が見えるシーン、「いやいやいや」の前後から劇場の笑い声がそこかしこから響きます。無駄に実写チックなパンツとわざとらしい「ほわぁ~」からの流れも爆笑。
「そりゃそうだ」の後、風がまた吹き始めます。

 

シーンが学習塾跡へと黒齣の裏で響く忍野の「悪い、ミスった」、「委員長ちゃんがさらわれた」。事態が最悪な方向へと動き出している事を予感させ次のバトルへ。