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感想文ブログ

作品をもう観たという方に、私の個人的な解釈を伝える為の内容を溜めます。

傷物語Ⅲ冷血篇 ネタバレ感想考察1

傷物語Ⅲ冷血篇

 

2017/1/6劇場公開
上映時間83分

 

傷物語三部作の三作目

 

物語の真相が語られる最終章。シリアスで決して明るいとは言えない展開が続く中において、体育倉庫でのやり取りがかなり大きく取り扱われているところはぬかりないところ。そして壮絶なバトルシーンと煮え切らないラストが深い印象を残し、改めて化物語を観たくなる流れを持った作品でした。


○心臓
[原作 014章(227P~245P)]

 

全てのバトルを終え、キスショットの四肢回収は完了したかに見えたが、戦闘を終える毎にキスショットが窮地に立たされていたことに対する違和感が増大していった暦の質問に答える形で、キスショット心臓を渡す忍野。内情を語ってくれたのも束の間、彼はこの街をあとにする。

 

4/6。強い雨が降りキスショットが眠りについている昼間。本来四階の教室でのシーンですが、なにやら通路の様なスペースでの忍野、暦による会話シーンからスタート。

ギロチンカッターから回収したキスショットの両腕を届けに来た忍野。胸ポケットから煙草を取り出し、暦に皮肉がたっぷり含有された「おめでとう」を言い放ち、その後、羽川が雨の中、例の赤い傘を差して歩く様子が映し出されます。

 

これまでの忍野の言動を加味すると、彼にとっては怪異に関する問題、或いは仕事に一般人が介入することは極力避けるべきであるという認識があります。それにも関らず、折角バランスを取る仕事を遂行中だった対象の吸血鬼に対し、自分の命と引き換えに救おうとする一般人や、その後、段取りを組んだバトルの最中、そんな事をする必要がないのに自ら戦地に赴き腹を抉られたりする一般人が登場する結果となり、彼のキャリアにおいて相当記憶に深く刻まれる失敗に導いた当事者として、今まさに会話をしている暦と、羽川が頭に過っている表現としてのカットインなのではと思いました。

ここの辺りについては、後にでてくる忍野の「仕事は済んだしね。失敗という形でだけど」という言葉からも推し量れるのではないでしょうか。

 

話は進み心臓に関するやりとり。忍野が煙草を入れているはずの胸ポケットから四次元ポケットのように心臓を取り出すシーン。BGMとその心臓の鼓動がうまく融合しているように感じる一幕を経て、タメからの「僕」、そして指をパキパキ鳴らす姿。この只者でない忍野メメという男が解りやすく脚色されてとてもいいと思いました。
四戦目が存在していたこととそれが無くなった経緯を説明した後、熱血篇でも薄ら張られていた伏線をより鮮明にする「最近、お腹空かない?」という言葉を残し、忍野は学習塾跡をあとにします。

 

忍野が歩く方向と逆行する白い鳩の群れ。平和の象徴とすれ違う絵が不穏な空気を醸し出しタイトルバック。